相続不動産の手続きは多岐に渡ります。被相続人(亡くなられた方)が所有されていた自宅や貸家(マンション・アパート等)の不動産(土地・建物)を遺産相続で引き継ぐ時は、不動産相続の手続きが必要となります。
相続不動産の手続きで代表的なものは法務局で行う相続登記です。相続登記は被相続人名義から相続不動産の所有者の名義を承継者に変更する手続きの事で、土地や建物を管轄する法務局で行います。
相続登記の必要書類の一例として相続不動産の固定資産税評価証明や固定資産税課税明細、登記事項証明書にあわせて被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本・住民票の除票、法定相続人全員の戸籍・住民票、遺産分割協議書や印鑑登録証明書(印鑑証明)などがあります。
戸籍や住民票、印鑑証明は、被相続人や相続人の本籍地や住所地を管轄する役所で取得する事が出来ます。固定資産税評価証明や登記事項証明書は相続不動産を管轄する役所や法務局で取得をします。遺産分割協議書については相続人ご自身で作成する必要がりますが、法務局で行う不動産登記に対応した記載方法が分からないといったご自身での作成が難しい方は司法書士など専門家に作成を依頼する場合もあります。
被相続人名義の土地や建物などを引き継いだ場合、相続不動産は相続税の課税対象であり、また不動産は他の財産と比較して相続税評価額が大きくなるケースも多い為、相続税申告義務があるかを判断する必要があります。相続税は財産(不動産・有価証券・預貯金等)や債務(借入金・未払金等)の内容や、法定相続人の人数などにより申告義務が判定され、申告義務がある場合には亡くなった事を知った日の翌日から10か月以内に被相続人に住所地等を管轄する税務署に相続税確定申告書の提出と納税が必要です。
相続税においては相続不動産は一定の条件をもとに小規模宅地等の特例が適用され、相続税の計算上、相続人にとって有利に進める事が出来る可能性があります。被相続人のご自宅や貸家などを相続人が引き継ぎ、相続税の申告期限まで相続人が引き続き居住や貸付等を行っている場合等で適用されますが、安易な判断で思わぬ不利益を被る事が無いよう、ご自身で判断が難しい場合には税理士など専門家に税務相談を依頼する場合もあります。
相続不動産を引き継いだ後に相続人は土地や建物を自由に使用収益する事が出来ます。居住用として相続人のご自宅として住まわれる場合や、代表的なものでアパートやマンションを引き継がれた時は貸付を行い家賃収入を得たりする場合もあります。居住や貸付等をせず、またメンテナンス等を怠り放置をすると空き家対策特別措置法の特定空き家に指定され、固定資産税等の税制上の不利益を被る可能性が高まるので注意が必要です。居住や貸付を行わない場合には相続不動産の売却を選択されるケースも多くあります。
相続不動産の活用(居住・貸付・売却)にお困りの場合には、宅建士などに依頼される方もいらっしゃいます。相続税納税資金や特定空き家指定防止など目的や、新たな所有者となった相続人の考えなどを総合的に考慮し、相続で引き継いだ不動産の活用方法を検討する必要があります。特に貸付する場合の適正な賃料や、売却する際の譲渡価格の決定は専門家に依頼された方がよりスムーズで安全な取引が可能です。
相続不動産の貸付や売却などを行った場合、相続人には不動産所得や譲渡所得が生ずるので所得税の確定申告が必要となります。所得税確定申告など税金手続きや税務相談については、相続税と同様に税理士に依頼するのが一般的です。
相続不動産の手続きでお困りの方は、税理士や司法書士、宅建士などの専門家に相談しましょう。