自身に万一の事が起こったときに、ご家族が相続税や遺産争い(争族)で困らないようにと生前に相続対策をされる方が近年増えています。相続対策と言っても様々な方法があり、ご本人の置かれている状況や意思により対策の内容も変わります。
例えば相続税についてご心配されている場合には、相続税を予め計算しておきどれくらい納税資金が必要になるかの確認がお勧めです。相続税の納税は原則金銭一括のため納税額を確認しておく事で現預金を貯めておく機会が増えます。
相続税対策として比較的選択される方法として子や孫への金銭の贈与があります。子や孫へ現金贈与を行う事で、ご自身の相続時の課税財産を減らす事が出来るのと同時に、ご家族が将来の相続税納税資金として蓄えておく事が可能となります。生前贈与を行う場合には贈与税に注意が必要なため、予め税理士に相談される事をお勧めします。
また不動産や保険商品を活用した相続税対策もあります。こちらはご本人の財産債務の現況やご意向により選択する方法が異なるため、事前に税理士などに相談される事をお勧めします。
争族を防ぐ手段として効果的な手段は遺言書の作成です。遺言書が正しく書き残されている場合は、ご家族全員による遺産分割協議を経る事なく、ご本人(遺言者)の意思に沿って相続手続きを進める事が出来るため、ご家族間の争い発生のリスクを減少させる事が出来ます。
遺言書は自筆でも作成できますが、法律要件を満たしておらず遺言書として無効になり相続手続きで使用できないケースもままあり、実務ではより確実な遺言公正証書をお勧めしています。遺言公正証書は公証役場で作成する遺言書で、原本は公証役場に保管されるため改ざんの恐れもなく、また公証人や証人2名の立ち合いのもと作成されるため、ご家族間の争いのリスクが限りなく減少します。
相続対策は金銭贈与、遺言書作成、不動産や保険商品活用など手段は様々ですが、まずはご本人がどのような事を心配されているかなど、ご自身の考えを整理される事から始めた方が良いでしょう。考えを整理するためにも、まずは相続の専門家に相談しましょう。